まず最初に、移民ビザとグリーンカードとは別物です。このふたつを混同してしまうと以下の手続きの説明も「なんのこっちゃ?」になってしまうと思いますので、まずはこちらに無料公開しているファイル『アメリカ・ビザ入門』に目を通してみてください。
■ 永住権とグリーンカード
米国永住権!いぃ〜響きです。永住権を獲得すると、それを証明するグリーンカードが与えられます。グリーンカードというのは正式な名称ではありませんが、映画の題名にもなりましかからご存じの方も多いと思います。映画グリーンカードの中に登場する主人公はたしかフランス人だったと記憶していますが、グリーンカードにあこがれているのは、何も日本人だけではありません。アメリカで生活することを夢見る世界中の人々が、冗談抜きで「あらゆる手段を用いて」獲得しようとしている、それがグリーンカードです。
ですので、アメリカ政府のほうも、アメリカへの移住を希望する全ての人々に「いらっしゃいませぇ〜」とホイホイとグリーンカードを発給しているわけではありません。むしろ状況は全く逆なのです。グリーンカードを巡っては、偽造集団の摘発、弁護士がらみの詐欺事件に発展した例、そして挙げ句の果てには移民局職員の汚職事件まで、ニュースネタには事欠かない、というのが現状です。こういった背景もあって、永住権を獲得するための手続きは、とても複雑でしかも時間も要します。
永住権をゲットすると、確かにアメリカでほとんど自由に活動することができますが、面倒な一面もあるんですよ。それは永住権所有者としての資格を維持し続けることです。アメリカに「住んでいる」状態ではなくなった、と判断されてしまうと永住権を剥奪されてしまうことだってあります。このあたりのことになってくると移民法の解釈のエリアになってしまい、理屈っぽいうえにわかりにくいので、この場で一般的な解説はできませんが、要は、永住権を取得してもアメリカ市民(アメリカ国籍)になるわけではありませんので、アメリカへの出入国が完全に自由になるわけではない、ということだけ意識しておいて下さいね。
出入国の自由度という意味では、非移民のEビザのほうがずっと自由ですし、資格を維持できるような事業を継続している限り、何度でも更新できるビザだったりします。しかもEビザは、アメリカと条約を結んでいる一握りの国の人しかゲットすることはできませんので、実はこれもあこがれのビザなんです・・・おっと・・・、ここはEビザのページではありませんね。では、グリーンカードの獲得方法について、サワリだけ解説します。
■ 永住権を獲得できるのはどんな人?
努力次第!で獲得できるようなっているのが米国永住権の特徴です。努力次第といっても並大抵の努力じゃダメですよ。アメリカの永住権は、残念ですが、誰でもすぐに申請できるというワケではありません。でも、雇用による永住権の獲得は、5年計画とか10年計画で、となってくると、意外と道は開けるものです。以下に主なカテゴリーを列挙します(全部ではありません)。
1. 抽選による永住権
すっかりおなじみになりました。抽選で永住権を申請するチャンスが与えられる、といういかにもアメリカらしい方法がこれでしょう。なんでこんなことをしているかというと、少しでも公平性を保つためなのだそうです。実は永住権を獲得している人の出身国を眺めてみると、メキシコ、中国、インド、フィリピンを筆頭に一部の国々に大きく偏ってしまっているのです。
この偏りを少しでも緩和するために考え出されたのが抽選です。ですので、アメリカに移住する人が多い国の出身者は、この抽選に参加することはできません。逆に、アメリカがテロ支援国として指定している国や湾岸戦争の相手国だったイラクの出身者であっても、この抽選に参加することができます。このあたりが、アメリカという国の奥の深いところだと思います。
2. 結婚による永住権
アメリカ人と結婚したら、当然の権利としてすぐにアメリカに住めますよね?と思っている方、甘い!もちろんほとんどの方は住めるようになりますよ。でも、そこに行き着くまでの手続きがもう大変なんですから。なんといっても、外国人と結婚する当のアメリカ人のほうが、自分の配偶者に永住権を獲得してあげることの大変さを理解していないわけです。そりゃそうですよね、日本人である皆さんが外国人と結婚するとして、どうしたら日本の永住権を取得してあげることができるのかなんて知りませんよね。
で、相手がアメリカ人ならまだいいのですが、結婚相手が永住権所有者だったりするとかなり相当タイヘンです。アメリカ在住の永住権所有者と結婚しても、永住権を獲得できるようになるための待ち時間が現時点で4年以上あるのです。4年ですよぉ!「ウッソォー」と言いたくもなりますよね。でも、残念ながら、ホントの話なのです、これが・・・・。これを読んで目が点になっている方、いきなりショッキングな話で申し訳ないです。
3. 雇用による永住権
アメリカの会社がスポンサーとなって、「この人をこの先ずっとウチの会社で雇用したいので永住権を認めてあげて下さい」という申請をするのがこの方法です。短期就労ビザ(H−1Bなど)は、『一時的に』海外から能力のある人を呼び寄せるわけですが、こちらのほうは「永住させる」というわけですから、その大変さは、H−1Bビザどころの比ではありません。
H−1Bビザでは、連続6年間しか米国内で働くことができませんので、最初の就労許可の3年が終わり、その更新申請をする頃に永住権の申請手続きを開始するのが一般的な流れになっているようです。アメリカ側から見ると、これは労働力の海外からの輸入ですので、申請手続きには、移民局だけではなく労働省も登場します。雇用による永住権の場合は、スポンサーとなる雇用主が「これこれの能力がある人を『一生懸命』探したのですが見つかりませんでした」ということを示さなければなりません。これが通ってはじめて移民局への申請となります。
4. 投資による永住権
グリーンカードを買おう!みたいなカンジですね、これは。必要な資金は100万ドル(失業率の高い地域では50万ドル)、冗談抜きでホントの話です。アメリカ側から見て一番嬉しいのはこれでしょうねぇ。ただし、100万ドル持っていって銀行に預けるだけではダメですよ。その資金で創業して、少なくとも10名の雇用を創出すること、などの条件がついています。この投資による永住権の獲得と、通商条約に基づく投資ビザ(E−2ビザ)とを混同されている方も多いようですが、このふたつは全くの別物です。
話はそれますが、日本もこういうカテゴリーを作ったらいいと思いません?ん?日本に夢を求めて投資する人なんて、いないですかねぇ?
5. その他の永住権
上に挙げた4つの他にも、家族申請による永住権がありますし、難民・亡命の受け入れも多いのがアメリカです。ところで日本ですけどねぇ、日本の入管法でも「難民を受け入れる」ことができるようにはなっているみたいです。忘れた頃に使うことがあるそうな。なぜ忘れた頃にしか使わないかというと、それはきっと、難民のほうが日本を避けているのでしょうねぇ。そんな国が、自衛隊を海外に派兵してどうするんでしょう・・・おっと、エッセーのページはこっちでした。
■ 永住権を取得するふたつの道筋
永住権を獲得するための申請手続きはふたつありますので、まずその点について説明しましょう。例えば、次の項目で説明する永住権の抽選プログラムに当選した人は、その状況に応じて、どちらか一方の申請方法を選択することになります。誤解されている方が多いので、この機会に覚えてしまって下さい。
1.米国外ので手続き(Consular Processing)
アメリカ国外にいる外国人が、移民(=アメリカに住もうとしている外国人)として、はじめてアメリカに入国するためには、『移民ビザ』が必要です。移民ビザは、A4サイズくらいの大きなモノで、アメリカに移民として入国するために必要な書類です。日本で(つまり米国外で)アメリカ永住の手続きを行うと、いきなりグリーンカードをもらえるワケではありません。大使館や総領事館が発給するのは、この移民ビザだけです。
で、この移民ビザを使ってアメリカに入国すると、グリーンカードの発給手続きが移民局によって自動的に開始されて、移民ビザを申請した際に届けてあった住所にグリーンカードが送られてきます。ですので、移民ビザで入国した場合には、アメリカ国内に入ってから何の手続きをしなくてもグリーンカードを入手できることになります。移民ビザで入国することの利点は、入国を許可された瞬間から永住権の所有者(Legal Permament Resident)としてアメリカに住むことができる、ということです。グリーンカードの到着を待っている間であっても、パスポートにグリーンカードの代わりとなるスタンプが押されますので、グリーンカードを持っているのと同じ状態になるわけです。
このように、「アメリカ国外で移民ビザを獲得」→「移民ビザで入国」→「グリーンカードをゲット」の流れを"Consular Processing"と呼んでいます。日本で移民ビザを発給できるのは、東京の米国大使館と沖縄の総領事館のふたつだけで、大阪の総領事館では扱っていません。
2.米国内での手続き(Adjustment of Status)
こちらの手続きは、すでに米国内に滞在している人が行う申請手続きです。すでにアメリカの中にいるわけですから、アメリカに改めて入国のための移民ビザは必要としません。ビザを必要としないため、大使館が申請手続きに関与することはありません。申請する相手は大使館ではなくて、かの有名な(?)移民局です。
逆に、米国に滞在中ということは、非移民ビザの資格(Status)を持っているはずです。例えば、F−1(学生)ビザで入国した人の場合は、F−1という滞在資格を持っています。このF−1から永住権所有者(Legal Permanent Resident)に資格を変更をする申請するというのが、この手続きの意味です。このような申請を"Adjustement of Status"と呼んでいます。
この場合は、申請書類の提出からグリーンカードの受領まで、全て米国内で済んでしまいますが、問題は申請をする相手が移民局だということです。実際にグリーンカードを手にするまでは、気を抜けない状況が続きます。移民局の事務処理にはミスが付き物ということを前提としてかかりませんと、何が何だか判らない状態になることがあります。移民局の名誉のために付け加えておきますが、移民局で扱っている申請の数は、皆さんの想像を遙かに超えています。
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